不安を煽ってお金を巻き上げる、霊感商法の手口
霊感商法とは
霊感商法とは、先祖の霊や前世が見えるように振る舞って、悪い運命を変えるためにと高額な悪除け・開運グッズを買わせたり、除霊などお祓いという名目で高額な祈祷料を搾取する詐欺のこと。
古典的な詐欺手法で、80年代には日本中で大流行しました。
高額な商品や祈祷料を巻き上げる手口
霊媒師は言葉巧みに依頼者の悩みを探し出します。
「実は夫婦仲が悪くて」「父の健康が心配」などと漏らしてしまうと、そこに付け入ってきます。
そして、その因果が霊にあり、「先祖の霊が苦しんでいる」「水子が成仏できずにいる」「因縁を清算する必要がある」などと説明されます。
いきなり路上で呼び止めて「あなたに悪い霊がついていますよ」と言っても、誰も話は聞かないし、声をかけてきた相手から数十万円の壷を買おうとは思わないでしょう。
しかし、密室で親身に悩みを聞いてくれた相手が、自分のことを色々言い当てると、「あなたが不幸なのは霊のせい」という非科学的で荒唐無稽な話を信じてしまうのです。
誰でもひっかかる可能性がある
誰にでも悩みはあります。今悩みがなくても、将来の不安がないと言えば嘘になるでしょう。
人生の終焉には、必ず老いや病や死があるのですから。
だから、不安につけいる詐欺には誰でもひっかかる可能性があります。
自分だけは絶対にないと言える人いません。
逆に、自分は絶対に騙されないと信じる人は思い込みと自己判断に過剰な自信があるため要注意と言えます。
雑誌広告の開運ブレスが、霊感商法の入り口に
意外なところが入り口になっている
霊感商法は古い手口だと思うかもしれませんが、霊感商法の被害は現在も起きています。
2016年2月、開運ネックレスの購入者に僧侶を名乗って電話をかけ、祈祷を受けるよう促し、現金をだまし取ったとして詐欺会社の社長や従業員ら3人が逮捕されました。
開運ネックレスの広告は、雑誌広告や折り込みチラシで頒布したもの。
この詐欺会社には5,500人から2億5,000万円が入金した形跡がありました。
雑誌広告の開運アイテムは、「パワーストーンを付けただけで、パチンコでも競馬でも大当たりで女にモテまくり!」といった、冗談のようなものが多いですが、こういう商品を買うということは将来有望なカモということ。
被害者の一人は、数百円のペンダントを買ったら、最終的に1,000万円払っていたという人もいます。
宗教法人が母体となって起こした事件も多数
霊感商法と言えば、世界基督教統一神霊協会が有名です。
大理石製の壷や高麗人参を販売し、被害額は1,117億円。
2000年には法の華三法行が、様々な商品を売りつけて被害額は950億円に上りました。
有名な宗教法人だから、歴史のある伝統宗教だから、といって安心はできません。
霊媒師の話が当たる理由
情報は、自ら詐欺師に提供している
霊媒師は相手のことを言い当ててみせ、信頼させていきますが、ほとんどの情報は言い当てているのではなく、霊視の依頼者が自ら提供しているもの。
身なりや話し方だけでも、どのような人なのかは想像ができますし、会話からも引き出すことができます。
これをコールド・リーディングと言います。
「身近に重いご病気で亡くなった方がいますね?」
といった誰にでも当てはまりそうな質問を投げかけると、
「ええ、祖父は脳腫瘍で。私はまだ小学生でしたが…」
と依頼者は自ら個人情報を話してしまうのです。
亡くなるほどの病気なら、「重い病気」に決まっています。
依頼者の年齢から、周囲に一人くらいの死を体験しているかもしれない、という予測は容易です。
「おじいさまの姿が見えた理由がわかりました。それに…そう、周囲の方もご苦労されていますね?」
と投げかければ
「はい、最後まで面倒を見たのは母でした。看病の間は家にはあまりいませんでしたね…」
という具合です。
何気ない会話から、「祖父を亡くしたのは小学生の時」、「こどものころ母は不在がちだった」、といった聞かれていないことまで引き出されてしまいました。
ここから先は、色々なことを芋づる式に「言い当てられて」信じてしまうのです。